はじめに:建設業許可の“種類”って、何が違うの?
建設業許可を取得しようと調べていると、よく出てくるのが「一般許可」「特定許可」「知事許可」「大臣許可」という4つのキーワード。
「どれを選べばいいの?」「うちは知事許可でいいのか?」「特定許可って大変?」 ──そんな疑問を感じたことはありませんか?
この記事では、建設業許可の“種類”について、現場目線でわかりやすく解説します。あなたの会社や事業内容にとって、どの種類が必要なのかも具体的に整理していきましょう。
一般建設業許可と特定建設業許可の違い
■ 一般建設業許可とは?
- 元請・下請を問わず、下請への発注金額が1件あたり4,000万円(税込)未満で済む場合に必要な許可。
- 多くの中小建設業者は「一般許可」で十分なケースが多いです。
この一般許可は、たとえば内装工事や外構工事、塗装、設備工事などで、比較的小規模な請負や自社で完結する工事が中心の業者に向いています。実際、初めて許可を取得する方のほとんどがこの「一般許可」からスタートしています。
■ 特定建設業許可とは?
- 元請として1件あたり4,000万円(税込)以上の工事を下請に発注する場合に必要。
- つまり「大きな工事を元請として動かす会社向けの許可」です。
公共工事、大型マンションの新築、官庁工事などでは、発注金額が自然と4,000万円を超えることも多いため、元請として動くのであれば、最初から「特定建設業許可」を視野に入れる必要があります。
▶ 特定許可の取得には、一般許可よりも資金力や技術者の実績が厳しく求められます。 具体的には、500万円の自己資金に加え、直近の決算で一定以上の自己資本額が必要となり、また技術者の過去の工事経験の記録なども細かくチェックされます。
国家資格の違い:一般と特定で求められる技術者とは?
建設業許可を取得するには、営業所ごとに「専任技術者(専技)」を配置する必要があります。一般許可と特定許可では、求められる技術者の資格や実務経験年数に違いがあります。
■ 一般建設業許可で認められる技術者要件(一例)
- 1級または2級施工管理技士(該当業種)
- 10年以上の実務経験(高卒の場合)
- 大学等で専門学科を修了し、3年以上の実務経験
■ 特定建設業許可で必要となる技術者要件
- 1級施工管理技士の資格保有者(原則)
- もしくは**国交省指定の特定業種経験者(優れた技術者)**として審査に合格した者
▶ 特定許可を取得するには、「1級施工管理技士」の国家資格を持った専任技術者が必須となるため、許可の準備段階で資格取得のスケジュールまで逆算して考える必要があります。
また、経験のみでの特定許可対応は非常にハードルが高いため、資格取得によって要件を満たすルートが現実的です。
知事許可と大臣許可の違い
■ 知事許可とは?
- 1つの都道府県内のみで営業所を構えて工事を請け負う場合に必要な許可。
- たとえば、東京都内だけで営業している会社、神奈川県内だけで活動している個人事業主などが該当します。
■ 大臣許可とは?
- 2つ以上の都道府県に営業所を持つ会社が取得する必要がある許可。
- 例:本社が東京、支店が埼玉にある場合 → 大臣許可が必要。
▶ 注意点:
- 工事現場の場所ではなく、「営業所の所在」が判断基準。
- 現場が全国に広がっていても、営業所が1つの県内だけなら知事許可でOK。
この点を勘違いして「現場が全国にあるから大臣許可だ」と思い込んでしまうケースもあるので注意が必要です。
許可の種類を整理すると…
| 許可の区分 | 内容 |
| 一般建設業許可 | 4,000万円未満の下請工事を行う元請・下請向け |
| 特定建設業許可 | 4,000万円以上の下請を使う元請向け |
| 知事許可 | 1都道府県内で営業所がある場合 |
| 大臣許可 | 2都道府県以上に営業所がある場合 |
このように、許可の種類は「工事の規模」と「営業所の所在」という2つの軸で整理できます。
どの種類を選べばいいの?判断のポイント
- 下請に出す予定の金額は? → 4,000万円を超えるようなら「特定許可」も検討
- 営業所は複数ある? → 他県にも事務所があれば「大臣許可」
- 将来の拡大を見越して? → まだ1県でも、数年以内に他県進出の可能性があれば大臣許可の準備も◎
▶ 自社の状況だけでなく、元請からの要望も判断材料になります。「将来的に特定取っておいてくれ」と言われるケースも。
また、資材調達や下請け手配が県をまたぐ場合、営業所が無くても今後設ける可能性があるなら、今のうちに将来を見越して準備を始めておくとスムーズです。
【コラム】特定建設業許可が必要だった実例
私が相談を受けたある事業者は、元請会社から「今後この規模の案件が増えるから特定許可を取ってくれ」と言われました。
最初は一般許可で問題なく動けていましたが、工事単価が大きくなるにつれて元請側の管理体制強化の流れに乗る形で特定許可へ。
そのために技術者の実績証明、財務体制の整備など、半年がかりで準備したというケースもありました。
▶ 許可の種類は「取れるかどうか」だけでなく、「取っておくべきかどうか」も大事です。
また、知事許可で営業していた会社が、神奈川に営業所を増設したタイミングで、大臣許可への切り替えが必要になった事例もあります。 その際には、再申請に時間がかかり、契約予定だった案件を逃したという苦い経験も。
どんな人が一般許可・特定許可を取るべき?タイミングの目安とは
■ 一般建設業許可がおすすめのケース
- 初めて建設業許可を取る方
- 一人親方や小規模な建設事業者
- 工事は基本的に自社で完結し、外注は少額のみ
- 500万円未満の軽微な工事を中心に受注している
▶ 特徴:取得しやすく、許可取得後の更新・管理も比較的シンプル。建設業としての「信用力アップ」の第一歩に最適です。
■ 特定建設業許可が必要なケース
- 元請として大型案件を受注する機会がある
- 今後、公共工事・官庁案件への参入を検討している
- 下請けに4,000万円以上の工事を発注する可能性がある
- 元請から「特定を取得してほしい」と要望を受けている
▶ 特徴:資金・技術・体制が整った会社向け。取得には時間とコストがかかるが、大きな取引・案件の受注チャンスが広がる。
■ 取得のタイミングはいつ?
- 一般許可は「建設業を本格的に始める」と決めたら早めの取得がおすすめ。
- 特定許可は、「具体的な案件が見えてきた」「元請けとの交渉で必要となった」など、必要性が発生したタイミングでの取得が最適です。
なお、最初は一般許可でスタートし、数年後に業績や体制が整ってから特定許可に切り替えるという流れもよくあります。焦らず、自社の成長スピードに応じて段階的に準備を進めていくことがポイントです。
まとめ:許可の種類で迷ったら、まずは相談を
建設業許可には「一般・特定」「知事・大臣」の区分がありますが、どれを取ればいいかは事業の規模や将来性によって変わります。
種類を間違えると、工事の受注に制限がかかったり、元請との信頼関係に影響が出たりと、実務面でのリスクも生じます。
ぜひそうしたリスクを避けるためにも専門家に相談するのが良いでしょう。

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