建設業許可の名義貸しは違法!罰則とリスク、やってはいけない理由

「許可だけ貸してくれない?」は絶対NG!

建設業界ではときおり、「許可を取っている人の名義を借りて仕事をしたい」「知り合いの名前を使って申請したい」といった話が持ち上がることがあります。

しかし、これはいわゆる**“名義貸し”**と呼ばれる行為であり、建設業法で明確に禁止されている違法行為です。

一見、手っ取り早く見える方法ですが、名義貸しには重大なリスクと罰則が伴い、貸した側も借りた側も将来に大きな悪影響を及ぼすことになります。


名義貸しとは?

名義貸しとは、建設業許可を持っている事業者(または個人)が、実際には経営や施工に関与しないにもかかわらず、自分の名義を他人に使わせることをいいます。

たとえば、

  • 実態のないペーパー会社が許可を持ち、実務は別の業者が行っている
  • 他人の許可番号をチラシや契約書に記載して営業している
  • 専任技術者として登録しているが、現場には全く関与していない

などが典型例です。


名義貸しがなぜ違法なのか?

建設業許可制度は「適正な技術と経営体制をもつ業者だけに許可を与える」ことが前提です。
そのため、許可を持つ事業者が実際に工事を管理・施工することが絶対条件です。

名義貸しはこの根幹を崩す行為であり、以下のようなトラブルやリスクを引き起こします:

  • 現場で事故や欠陥があった場合、責任の所在が曖昧になる
  • 行政や元請からの信頼を失う
  • 契約違反や詐欺と判断されるリスクもある
  • 経営事項審査や公共工事参加資格も取り消されることがある

名義貸しを禁止する建設業法の条文は?

名義貸しを明確に禁止している条文は、建設業法第17条第1項および第28条第1項です。


建設業法 第17条第1項(請負契約の締結の制限)

建設業者は、その名義を他人に使用させて、当該他人が締結する請負契約に関与してはならない。

つまり、他人に許可番号や社名を貸して、工事の契約をさせること自体が違法だと明言されています。


建設業法 第28条第1項(許可の取消し)

さらに、名義貸しを行った場合は、下記により許可が取り消される可能性があるとされています。

国土交通大臣又は都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する者については、その許可を取り消すことができる。
一 不正の手段により許可を受けた場合
二 第17条の規定に違反した場合 ほか

このように、名義貸しは一発で「許可取消」の対象となる重大な違反行為です。


📌 法令上も明確に禁止されているため、「知らなかった」や「一時的なつもりだった」では通用しません。
行政処分や刑事罰の対象になるだけでなく、業界内での信頼も失ってしまいます。


名義貸しに対する罰則

建設業法では、名義貸しを行った場合、以下の罰則が定められています。

対象内容
名義を「貸した側」許可の取消処分、3年以下の懲役または300万円以下の罰金
名義を「借りた側」無許可営業となり、同様に処分・罰則対象
両者とも公共工事の指名停止・元請との契約解除・信用情報への登録

📌 一度処分を受けると、今後数年間は許可申請ができなくなる可能性もあります。


「専任技術者」の名義貸しも要注意!

建設業許可では「専任技術者」が営業所ごとに必要ですが、このポジションも名義貸しの対象になりがちです。

よくある違反パターン:

  • 実際には他社にフルタイム勤務している人を“専任”として登録
  • 出勤実態がないにもかかわらず、在籍していることにしている
  • 非常勤の顧問を常勤として登録している

これも重大な違反とされ、許可取消や罰則の対象になります。


名義貸しをしてしまった“その後”のリアルな代償

  • 数百万円の工事代金が未払いのままになった
  • 裁判で責任を問われ、高額な損害賠償請求を受けた
  • 元請からの仕事が一切なくなり、会社が倒産
  • 行政処分で5年間許可が取れなくなった

実際にこうした事例は後を絶たず、「ちょっとだけのつもりだった」が大きな損につながるのです。


他の業種と比べても、建設業における名義貸しはリスクが極めて高い

名義貸しは、行政書士や宅建士、電気工事士などの国家資格でも禁止されている行為ですが、建設業においては特に深刻な結果を招きやすいと言えます。

なぜなら、建設業許可には以下のような特徴があるためです:

  • 500万円を超える高額な契約が日常的に発生する
  • 人命や安全にかかわる工事が多く、事故の際の責任が重い
  • 公共工事や元請契約では「コンプライアンス(法令遵守)」が最重視される
  • 許可の維持や経審・入札資格にも直結する

つまり、一度名義貸しをしてしまえば、本人だけでなく、関係者や会社全体が大きなダメージを受けかねないのです。

軽い気持ちで貸した名義が、数百万円〜数千万円規模の工事トラブルや事故につながり、最終的に行政処分・損害賠償・信用失墜にまで発展するリスクを抱えています。


正しい取得と運用が、信頼と成長をつくる

建設業許可は、正しく取得し、きちんと運用していくことで

  • 信用を得て大きな工事を受注できる
  • 公共工事や元請との契約がスムーズに進む
  • 金融機関からの評価も上がる
  • 永続的な経営基盤がつくれる

といった多くのメリットがあります。


まとめ|名義貸しは“絶対にやってはいけない”

  • 名義貸しは建設業法違反。貸した側も借りた側も罰則あり
  • 許可番号や専任技術者を形式的に使うだけでもNG
  • 「バレなければ大丈夫」は通用しない
  • トラブル・信用失墜・廃業のリスクが高すぎる

最近は建設業界全体で「コンプライアンス重視」が進んでいる

近年、建設業界では元請・下請を問わず、法令遵守(コンプライアンス)に対する意識が非常に高まってきています。

  • 元請業者が下請に対して「許可証の提示」「保険加入の有無」「専任技術者の常勤性」などを厳しくチェックする
  • 行政も指導・処分に対して迅速かつ厳格な対応をとる
  • 公共工事や大手ゼネコンの現場では、名義貸しの疑いがあると即契約解除となることも

こうした背景から、「名前だけ貸せばいいだろう」という安易な気持ちが、取り返しのつかない結果を招くリスクが年々高まっているのが現実です。

🔺 少しでも不安がある場合や、「誰かの許可を使いたい」「頼まれたけど大丈夫?」という状況にいるなら、すぐに専門家に相談することを強くおすすめします。

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この記事を書いた人

元電気工事の現場代理人をしていた行政書士です。特に電気工事、消防工事等に強いです。

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